ただ、この夜から抜け出したくて。
家の中に入ろうとしたちひろちゃんが足を止めたので、お母さんの腕を引っ張って外に出てもらった。
ちひろちゃんにはあまり聞かれたくない内容だったから。
「篤見さん、いつも娘を連れ出してくださってありがとうね。ニコニコと嬉しそうに帰ってくるから、安心するわ」
「とんでもない。僕で力になれてるのかも分からないんで」
「とっても力になってくれてるわよ。私じゃ話もできないから」
「お母さん、そのことなんですけど…」
回転寿司でちひろちゃんと話したことを伝えると、考えだしたお母さん。