ただ、この夜から抜け出したくて。
確認するために離れてみたけど、びっくりしてるのか引いてるのか、目を見開いているだけで、分からない。
「それ…。本気で言ってますよね?揶揄ってるとかじゃないですよね?」
「本気だよ。揶揄ってなんかない」
「…すごく嬉しい。私、篤見さんに今まで助けてもらったこと、全部ただの同情だと思ってた」
「そんなわけないじゃん。最初は、刑事として守らなきゃって思ってたけど、ちひろちゃんが入院した時に診てもらってた先生に、家族じゃないんだから何もできるわけないって言われたことがあって。それ言われた時、すごく悔しくて。刑事としてじゃなくて、1人の人間として守れるようになりたいって思ってから、気づいたらちひろちゃんのこと、好きになってた」