ただ、この夜から抜け出したくて。
〝女の子ですよ、おめでとうございます。〟
感動とは、この事だ。
新しく、この世に飛び出た命。
元気に手足を動かして、顔を真っ赤にして暴れる小さな体。
この、大きくもあり小さくもある体が、ちひろちゃんのお腹に入っていたんだと思うと、俺にはできない仕事だと感心した。
部屋に入れる許可ももらえて、病室にお母さんと入り、赤ちゃんを順番に抱っこする。
暖かくて、思わず顔を赤ちゃんの頭に近づけると、ほかほかと良い匂いがした。