ただ、この夜から抜け出したくて。
「女の子って、何であんなにコロコロ気持ちが変わるわけ?」
「自分でも分からないもんですよ。そんなの言われても知りません」
「本当ひどい…。拒否されるのが一番辛い」
約束していた仕事終わりの部下と飲みながら、弱音を聞いてもらい、何とか自分を保てているけど、また拒否されたらと思うと、勇気が出ない。
でも、このままではちひろちゃんが同じことになる。
「男の人って、弱いですよね。1回断られただけじゃないですか。それにあの子は、心が弱ってるんですから、見知らぬ厳つい刑事に心を閉ざすのは、当然です」
「ねぇ、本当に凹むからやめて?」
向かい合わせで飲んでいたけど、泣き崩れる僕に寄り添うように隣の席に移動して、背中を摩ってくれる優しい部下。
本当は逆の立場なのに、部下に慰められる先輩刑事って情けない。