ただ、この夜から抜け出したくて。
飄風
僕が取り調べをして追い詰めた容疑者は、罪を認めたあと正式に逮捕されることになり、被告人となった。
起訴され、今後行われる裁判で罪名が確定する。
もう僕たちの出番はないけど、自分の手で捕まえた悪者の行く末を見たくて、傍聴席で班長と2人、裁判に参加した。
「篤見も成長したな。あそこまで冷静になって、言葉を選べたのはすごいわ」
「どうしても許せなかったんです。それに昔みたいに、みんなが後悔する事件にしたくなくて、とことん潰してやろうって思って」
「もう少しで班長昇格だな」
「それは言い過ぎです。まだまだですから」