ただ、この夜から抜け出したくて。
でも、いつかは知ることになるなら、いっそのこと言ってしまえば…。
何回考えても、同じ答えにしか行きつかなくなってしまった。
言ったらどうなるか分からないけど、前に進むのは確か。
「ちひろちゃん、話があるんだけど」
「はい。何ですか?」
「実は今ね、……」
先生には言うなと言われているけれど、言っても言わなくても悲しくて辛いのはちひろちゃんで、そのタイミングが違うだけ。
「ちひろちゃんの……」
「はい。…私の?」
「…事件の犯人の裁判が全部終わったんだ。ちゃんと罪も認めて、懲役も決まった。しばらくは出てこないし、反省してたから当分は安心できる」
「終わったんですね、良かった。少し怖かったんです。刑務所から出たら、また私を探すんじゃないかなって」