ただ、この夜から抜け出したくて。
そうか。ちひろちゃんを助けるって、もっと複雑なことなんだ。
やっと分かったよ。先生が笑っているだけでと言った理由。
隣で笑っているだけでも少なからず、ちひろちゃんの心の支えになるんだ。
「忘れようとすると、余計苦しくなるよね。僕も沢山苦しんだし、今でも苦しい時があるんだ。とにかく1人が怖い」
「…私も」
「僕は、苦しい時にいつも隣で話を聞いてくれるような、頼れる人が居なかったんだ。だから、まだ乗り越えられないトラウマばっかり…。でも、ちひろちゃんは1人じゃないでしょ?僕がいつでも隣に居るから。…あれ、なんか違う?」
「そんなことないです。1人だと、色んなこと考えてしまうので、嬉しいです。ありがとうございます」
「うん、良かった。一緒に乗り越えようね」