ただ、この夜から抜け出したくて。
苦しいという感情は、何よりも受け入れるには時間がかかる。
マイナスな感情から逃げたくなるのは、誰だって同じ。
でも、そこを逃げずに立ち向かう人だけが、救われるようにこの世界は作られている。
とにかく僕は、ちひろちゃんの隣で笑いかけて、ちひろちゃんが苦しみに立ち向かって救われるのを、見届けるしかない。
「じゃあ、また来るから。いつでも僕の携帯に電話してくれて良いからね」
「私携帯持ってないんです。あの人に捨てられたから」
「そっか…。なら紙に書くよ」