ただ、この夜から抜け出したくて。
「刑事さんになら、心を開いても良いかなって思ったのに。僕のために生きてって。あれは嘘だったんですか?私のこと、守ってくれるんじゃないんですか?」
「それは嘘じゃないよ。ちひろちゃんのこと守りたいし、元気になってほしい。乗り越えてほしい。でも僕の独断で、先生との約束は破れないよ。それも、ちひろちゃんを守ることになるし」
「綺麗事ばっかり。もう守ってほしくない。来ないでください」
冷たく突き放されると、すぐに通話が切れる音がした。
もうちひろちゃんのことを守れずに、このまま終わってしまうんだろうか。