ただ、この夜から抜け出したくて。
先回りして正解の選択肢が知れたら、何も苦しむことなく平和に進むのに、いつもうまく行かない。
また自分の殻にこもって、心を閉ざして欲しくない。人の温かみを感じてほしい。
「仕事なんてしてる場合じゃないじゃん」
たまたま現場から戻ってきた部下に、中途半端な仕事を丸投げして、病院に走った。
言い訳をするわけではないけど、ちひろちゃんを守るためだと分かって欲しかった。
多分伝わらないだろうけど。
病院までの道のりは信号が多くて、こういう時に限って全ての信号に引っかかる。
焦るほど時間は長く感じて、携帯の便利さを痛感する。