ただ、この夜から抜け出したくて。
ちひろちゃんが無事かを聞きたくて家に来たけど、まさか家に通されるとは。
でも退院した理由も聞きたかったし、入ることにした。
通された家の中は外観からは想像もつかないほど綺麗で、広いアパート。
玄関を上がるとすぐにリビングキッチンがあり、その奥に扉を隔てて1つ部屋があった。
誰も出てこないけど、多分その部屋にちひろちゃんが居る。
ちひろちゃんが居るであろう部屋を見ていると、キッチンのすぐ隣にある椅子に座るよう、お母さんに促された。
「刑事さん、篤見さんとおっしゃいましたか?」
「はいそうです。篤見と言います。ちひろさんの事件を担当しました」
「篤見さんには、本当にお世話になりっぱなしだったみたいで、感謝しきれません」