アキアカネとあおいそら

page10:友達の目と嫉妬の顔

 (そら)と葵の2人だけのお泊まり会が終わり、GW明けの学校。天は教室で席に着きつつ、体を極限まで縮めて隠れていた。それを見てリッカとエマは不思議そうに声をかける。

「あんたどうした?」

「なんかあったの?」

「いや、ちょっと……」

 天は声を潜めて辺りを見回し、そっと2人に話し出した。

「実は、このGW行けたらだよ?行けたらね?剣道部の練習を見に行くねーって話だったんだけど」

「あーだから隠れてんの。行かなかったわけね」

「違う違う行けなかったの。そこ重要」

「まあ約束してたわけじゃないなら気にしなくていいんじゃない?」

 リッカにツッコミつつエマにそう言われて天は頷く。頷くのだが……なぜか目が泳いでいる。それを見てリッカは察した。

「あんた、まさか……GW三日間ずっと引きこもってたんじゃないでしょうね?」

「初日は部活見に行きましたー!」

「残り2日は引きこもってたんでしょ!もう高校生が休みに日も浴びずになにしてんだか」

「いやぁ、執筆が捗って」

 あっけらかんと言う天にリッカは呆れてため息を吐いた。そんな中、エマがふと疑問に思ったので口を挟む。

「天、剣道部の練習見に行ったの?わざわざ」

「え、そうだよ?誘われたから」

「誰に?」

「それは安岐……いや、違う誘われてない」

「もうそこまで言ってたらバレバレだから」

 リッカにまたしてもつっこまれ天はぐっと言葉を詰まらせる。その話を聞いたエマは一人納得したように頷いた。それを見てリッカが「どした?」と尋ねる。

「いや、なんかさ。あの安岐葵が部活中に女子を追いかけたって噂になってて。なんでも背の高い女子だとかなんとか」

 エマの話に天はわかりやすく動揺した。その様子をリッカとエマは見逃さない。

「天、何か隠してる?」

「あんた白状した方が身のためよ」

「な、なんにもないよ!」
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