ミルクティーの音色
自分勝手すぎると思いながら、その自分勝手さに惹かれてしまっている自分がいた。
いや、だめだ。


私と渋谷先生の関係は文字通り、『先生と生徒』。
少なくともあと一年は、この関係から抜け出すことなど出来ない。


少女漫画とか恋愛小説とか、禁断の恋なんて美化されているのをよく見る。
でも実際はそんな美しいものじゃない。
去年生徒と恋愛をした先生は辞職、つまりクビになり、生徒は問答無用で退学。


お互いがお互いを愛した結果、お互い破滅の道へと進んでしまった。
それだけである。


「……佐々木さん、佐々木さん?」

「……すいません、ぼーっとしてました」

「正直だね、ほんと。入って」


渋谷先生が私を引っ張ってきた先は一つの空き教室。
先に入った先生に続いて私も入る。
長い間使われていないからか、埃臭い。


「先生、なんでこんなとこに連れてきたんですか?私早く帰りたいんですけど」

「いやぁ、ごめんごめん。でもさ、ちょっと気になっちゃって」
< 12 / 214 >

この作品をシェア

pagetop