ミルクティーの音色
笑いながら香音を抱きしめた。
今までずっと佐々木さん呼びだったから、どことなくむず痒い。
今までといっても、たった二週間だけなのだけれど。


「なんか眠くなってきちゃった。お腹いっぱいになったから」

「腹いっぱいになったら眠くなるの?赤ちゃんじゃん」

「赤ちゃんじゃないし」


ふたりで洗面台に向かって、歯を磨いた。
それからベッドがある寝室に。


「どうする?一緒に寝る?嫌だったら俺あっちのソファ行くけど」

「嫌なわけない」


くいっと着ていたTシャツを引っ張られた。
ベッドに入れば、香音が俺に抱きついてくる。
温もりを直に感じて、鼓動がどんどん早くなる。


「……ねぇ、離れて」

「なんで?」

「俺が止めらんなくなるから」

「止まんなくていいよ、蒼真くん」


明かりがなにひとつついていない部屋の中で、揺らめく瞳が俺を貫く。
少しずつ身体を動かし、キスをした。
何度も何度も、鼓動を確かめるように唇を重ねる。


柔らかい唇から漏れる吐息が、より俺を沸き立たせる。
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