ミルクティーの音色
逃げる間もなく迫られて、職員室へと連れて行かれた。
何人もの先生に囲まれ、まるで容疑者を追い詰める警察官のように尋問を受けた。


『なんで屋上にいたの?』
『悩み事でもある?』
『私たちで良ければ話聞くから、なんでも言ってよ』


何を言われているのか、よく分からなかった。
言葉が右耳から入って、そのまま左耳に抜けていくような感覚がした。
意味を成さない、大量の文字の羅列が、私の目の前で消えていく。
表面上だけは理解している風に頷き、「まぁ」と流しておいた。


『そんな適当に言わないで、もっとちゃんと教えてよ。もし悩みがあるなら、助けるから』


教えたところでどうなる?
死にたいと悩みを吐露したところで何も変わらないだろう。
助けるとか支えるとか、教師はすぐ無責任なことばかり言うのだ。


だからと言って無視を貫くわけにもいかない。
仕方ないから、不必要な箇所を省いて屋上にいた理由を説明することにした。


『空が好きだから、屋上にいたんです。それだけ』
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