ミルクティーの音色
言葉足らずだと思われるのかもしれない。


私は、そうは思わない。
言い方が冷たくても、言葉が足りなくても、蒼真くんの伝えたいことが、ちゃんと心に伝わってくるから。


蒼真くんは、誰よりも、優しい人だ。


「ほんと、香音はすぐ死にたいって言うね」

「仕方ないじゃん。生きづらい世の中が悪い」

「自分は悪くないで突き通すよね、香音。そういうとこ好きだけど」


自分は悪くないのだと思いたい。
この薄汚れた現代社会が私を死にたくさせるのだと思いたい。
自分が弱いと、気づきたくない。


「だって、自分が悪いって気づいちゃったらさ、自分は弱いって気づくのも同時でしょ。やだよ、そんなの」


相変わらず、人のことを考えない暴論だ。
弱いと気づくのが嫌だというのに、他人に助けを求めている。
人の腕に、縋るようにして生きている。


「……でも、弱いよね。私」

「なんで?」

「だって、誰かに助けを求めてる。それって、弱いのを認めるようなものじゃない?」
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