ミルクティーの音色
呟きに似た、蒼真くんへの問い。そして、自分への問い。
小さい小さい声を、蒼真くんは拾ってくれた。


「いいんだよ、弱くて。強い人間なんていないもん」

「蒼真くんは、強い人だと思うけど」

「そんなことないよ?強く見えるような皮を被った、弱い人間」


きっと、そうだ。
蒼真くんの言う通り、この世界に強い人間なんていない。
誰もが、分厚い皮を被って生きている。


みんな、弱い。弱いから、誰かと支え合って生きている。
弱いから、なにかに、誰かに答えを見いだそうとする。もがき苦しむ。
でもそれが、人生というものではないのだろうか。


「ありがとう」

「なにが?」

「大事なことに、気づいた気がする」


なにも、強くならなくていい。
這いつくばって、膝を擦りむきながら、進んだっていい。
少しずつでも前に進んでいれば、必ず手を差し伸べてくれる誰かがいる。


「……この世界が嫌いなことに、変わりは無いよ。でも」


隣にいる蒼真くんの、手を取った。
繋いだ手と手から、私の思いが伝わるように、強く手を握った。
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