ミルクティーの音色
「いいんだ、もう。夏休みだから羽目外したくなんのかね」

「違うよ。ただ、蒼真くんとお祭り行きたいだけ」


耳に顔を近づけ、ささやくように言われた。
予想していなかった行動に、身体が驚いて震える。


俺から離れた香音は、携帯を持ちながらいたずらっ子のように笑っていた。


「もう、驚かすなよ」

「驚かしてないよ。ただ意見を述べただけですが」

「言い方が悪いんだよ」

「満更でもないような顔してるくせに」

「うるさい」


子供じみた言い争いだと思われるかもしれないが、俺たちはいつもこんなんだ。
言い争いをして軽く腹を立てては、すぐに仲直りする。


「祭りか、長らく行ってないな」

「ぼっち」

「今なんつった?」


なんにも、と言って満足そうに笑っている。
ぼっちはそっちもだろ、と言い返せば分かりやすく表情が変わった。
頬を膨らませて、むっとした表情を浮かべている。
ほんと、分かりやすい。
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