ミルクティーの音色
連弾に向いているような曲、なにがあっただろう。
必死に考えを巡らせながら鍵盤に指を落とした。
落とされた指によって奏でられたひとつの音が、身体に染み込むように入っていく。
その音から沢山の曲が、俺の記憶の底から浮かび上がってくる。
ふたりでも弾ける曲を見つけると、俺は鍵盤を叩き始めた。
香音と初めて連弾した曲。
それを思い出したのか、香音は笑っていた。
すぐさま俺が奏でるメロディーを追いかけるかのように、柔らかくも丁寧に、それでいて楽しそうにピアノを弾いている。
転調を繰り返し、最後は俺が細かく鍵盤を叩いて曲が終わった。
香音は楽しそうな表情を浮かべたまま、さらりと鍵盤を撫でている。
「なんでもっと早くピアノやってなかったんだろ。こんなに楽しいのに」
「今やるからこそ楽しいって思えてるんじゃない?」
「そうかも、蒼真くんとやるからかな」
はっと口を押さえているがもう遅い。
あれほど俺に名前で呼ぶなと言ったくせに、自分も言っているじゃないか。
必死に考えを巡らせながら鍵盤に指を落とした。
落とされた指によって奏でられたひとつの音が、身体に染み込むように入っていく。
その音から沢山の曲が、俺の記憶の底から浮かび上がってくる。
ふたりでも弾ける曲を見つけると、俺は鍵盤を叩き始めた。
香音と初めて連弾した曲。
それを思い出したのか、香音は笑っていた。
すぐさま俺が奏でるメロディーを追いかけるかのように、柔らかくも丁寧に、それでいて楽しそうにピアノを弾いている。
転調を繰り返し、最後は俺が細かく鍵盤を叩いて曲が終わった。
香音は楽しそうな表情を浮かべたまま、さらりと鍵盤を撫でている。
「なんでもっと早くピアノやってなかったんだろ。こんなに楽しいのに」
「今やるからこそ楽しいって思えてるんじゃない?」
「そうかも、蒼真くんとやるからかな」
はっと口を押さえているがもう遅い。
あれほど俺に名前で呼ぶなと言ったくせに、自分も言っているじゃないか。