ミルクティーの音色
ああでも、そんな騒ぎで切れるほど、俺たちの関係は脆いものじゃないのだ。
ようやく落ち着いてきた脳が稼働してきて、右手が静かに旋律を奏でる。


───ねぇ、香音。


心の中でそう呟いた。いや、口に出していたかもしれない。


俺は、どうしたらいい?
先程までの楽しげな計画が、みるみるうちに黒く塗りつぶされていく。


かち、かち、と規則正しいメトロノームの音だけが、頼りなく響いていた。


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