ミルクティーの音色
鈍くなれるのも強さだよと聞いたことがあるけれど、私はそうは思えない。


「強くなんかない、鈍くて、冷たいだけ。今だって、なに言えば良いのか分かんない」

「自分がどうしたいかを、言えば良いんだよ。香音は今、どうしたい?」


私が今、どうしたいのか。
なにを思っていて、なにを言いたいのか。


「私は、なに言われても蒼真くんといたい」


これで、正しいのだろうか。
自分の発言に、すぐに不安になる。


「俺も、一緒にいたい」


蒼真くんが言葉を言い終わらないうちに、彼のことを抱きしめた。
学校だという彼の自制心が私を引き剥がそうとしてくるけど、私はそれに構わず、腕に力を込めた。


「……ねぇ、離れて」


とげとげしい声で言われてしまったから、私はゆっくりと身体を離した。


「でも、ほんとにいいの?本格的にバレたら退学だし、人生潰れるよ」

「人生潰れるのは、私だけじゃないでしょ?蒼真くんも、じゃないの?」
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