ミルクティーの音色
突然下の名前で呼ばれても、もう驚かない。
驚かないし、焦りもしない。苛立ちも沸かない。
やめて欲しいとも思わない。


もう、開き直ることにしたのだ。


私と蒼真くんの間にある恋は、いや愛は、誰にも消し去ることが出来ない。
どれだけ世間から罵声を浴びさせられようと、どれだけ遠くに引き離されようと、私たちは離れない。


私たちの心は、繋がり続ける。
なのであればもう、なにも恐れることはない。


「ねぇ、今日ピアノ弾いてもいい?」


リュックを机の上に下ろしながら問いかけた。
蒼真くんがこくりと頷き、黒椅子から立ち上がろうとする。
私はそれを手で止め、座ってと頷きかけた。


今日は連弾をしたい気分なのだ。
勿論ひとりで弾くのも楽しいけれど、蒼真くんと弾くピアノは段違いに楽しい。


蒼真くんは私じゃ思いつかないようなアレンジを加えてきて、彼の手によって音が鳴らされる度、私の心臓まで震えているような気がする。
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