ミルクティーの音色
目の前の町田先生が浮かべている笑みは、なんだか不気味だった。
浮かべている、というより、貼り付けている、という表現の方が正しいかもしれない。


必死に笑顔を貼り付けて、必死に自分を保っているような───。
そんな笑顔な気がしてならない。


「どうしたんですか、町田先生。佐々木さんに話があるなら、俺職員室戻りますけど」


なにも言わないまま、怯えたような表情を浮かべていたのだろう。
蒼真くんが助け船を出してくれた。


「いや、大丈夫です。渋谷先生もいた方がいいので」

「そうですか?でも、用があるのは佐々木さんなんですよね」

「うーん、どっちかっていうとお二人ですかね」


そう言ってまた、唇の端をつり上げる。
蒼真くんも町田先生の笑顔を見て、言葉を失っていた。


……どうして。
なぜ町田先生は、こんなにも不自然な笑みを浮かべているのだろうか。
なにか、隠したいことでもあるのだろうか。
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