ミルクティーの音色
蒼真くんの同僚としての悲しみ?
それとも、様々な感情が入り乱れて涙を引き起こしているのだろうか。


「ふたりが教師と生徒なんていう可愛らしい関係じゃないこと。毎日毎日、ここで会っていること。悪びれる様子もなく、ふたりで夏祭りに行ったこと」


いち、に、さん。
町田先生の綺麗な指が、ゆっくりと数を示す。
その華奢な指を、私たちは黙って見つめることしかできない。


「───証拠は」


顔を真っ白にして、手のひらをきつく握りしめた蒼真くんが呟いた。


「証拠は、あるんですか」

「ええ」


彼のか細い呟きは、しなやかでもあり強い町田先生の声にかき消された。
町田先生はジャケットのポケットから携帯を取り出し、すす、と画面をいじる。
やがて一枚の画像を私たちに見せた。


───それは浴衣姿の私たちが、鼻先を擦り合わせているような写真だった。


画像が全体的に暗いからよく分からない。
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