ミルクティーの音色
やがて───その微笑みが崩れた。


「そうだよ。渋谷先生に言ったの。佐々木さんと付き合ってるんですかって。その質問に対して答えてくれなかったけど、反応で分かった。ふたりは恋人なんだなって」


やっぱり、町田先生だったんだ。
あの日蒼真くんは『他の先生に俺たちの関係がバレたかもしれない』と言っていた。
そのワードを聞いて一番に頭に浮かんできたのは、町田先生だった。


直接なにかを問われたわけではない。密会現場を見られたわけでもない。
ただ私たちの関係に気づきそうなのは、町田先生だなと思ったのだ。


「あの日お祭りに行ったのは、ふたりが恋人なんだって証拠が欲しかったから。友だちとなんて行ってない。ただ、ふたりの関係を壊したかった」


突然出てくる狂気的なワードに、ぞくりと鳥肌が立った。
恋愛経験が数少ないからか、町田先生の気持ちが分からない。


好きな人の幸せが自分の幸せ。それは分かる。
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