ミルクティーの音色
「なにが、ですか」
「佐々木さん、涙ぐんでるから」
蒼真くんに言われて初めて、自分が涙を浮かべていたことに気がついた。
なにが悲しかったのだろう。自分でもよく分からない。
けれど、町田先生の悲しげな表情は、私の心をきゅっと締め付けた。
写真に映った蒼真くんを見つめる、優しい顔。
ずっと浮かべていた、淡い微笑み。
ぽたりとこぼれた、美しい涙。
こんなことを言ったら失礼かもしれないけど、やっぱり私と似ていると思ってしまったのだ。
その私は今の私ではなく、過去の私。
どうしようもないほどに愛を求めている───そんな私に。
「……ごめんなさい、大丈夫です。もうそろそろ下校時刻なので、もう帰ります」
「……わかった。荷物音楽室だよね」
「あ、はい。取りに行かないと」
オレンジ色の光が差す廊下を、ふたり並んで歩く。
蒼真くんは気が重いのは、どことなく足取りも重い。
そのうち私が彼を追い越して、先に歩いていく。
「佐々木さん、涙ぐんでるから」
蒼真くんに言われて初めて、自分が涙を浮かべていたことに気がついた。
なにが悲しかったのだろう。自分でもよく分からない。
けれど、町田先生の悲しげな表情は、私の心をきゅっと締め付けた。
写真に映った蒼真くんを見つめる、優しい顔。
ずっと浮かべていた、淡い微笑み。
ぽたりとこぼれた、美しい涙。
こんなことを言ったら失礼かもしれないけど、やっぱり私と似ていると思ってしまったのだ。
その私は今の私ではなく、過去の私。
どうしようもないほどに愛を求めている───そんな私に。
「……ごめんなさい、大丈夫です。もうそろそろ下校時刻なので、もう帰ります」
「……わかった。荷物音楽室だよね」
「あ、はい。取りに行かないと」
オレンジ色の光が差す廊下を、ふたり並んで歩く。
蒼真くんは気が重いのは、どことなく足取りも重い。
そのうち私が彼を追い越して、先に歩いていく。