ミルクティーの音色
「また外見てたの?」

「うん。綺麗だよ、今日。雲ひとつ無いから」


もう一度空を見上げると、蒼真くんも同じような動作で空を見上げた。
ほんとだ、という呟きが隣から聞こえてくる。


こんなこと、前にもあった気がするな。
学校の屋上で、今と同じようにふたりきりで、空を見上げて。
あの時は空が怖くて、ふらついた私を、蒼真くんが支えてくれたんだっけ。


あの時間から、どれだけが経ったのだろう。
蒼真くんと一緒に暮らして、早数ヶ月が経った。
季節は冬に移ろうとしていて、上着もなにも羽織らないで出てきてしまったから、寒さが肌を粟立たせる。


私は上げていた視線を下に戻した。
未だ空を見続けている蒼真くんの横顔を見つめる。


「……なに」

「いや、ちょっと昔のこと思い出してたの」

「昔?」

「うん。って言っても、半年前くらいのことだけど」


言葉にして気づいた。
もう、半年前なのか。
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