ミルクティーの音色
速すぎる時の流れに驚いてしまう。
蒼真くんが歩き出し、フェンスにもたれる。
私もその隣で、彼と同じような体勢を取った。
風が吹いて、私と蒼真くんの髪を揺らしていく。
───飛べそう。
フェンスに手をかけ、力を入れて足を浮かせてみる。
蒼真くんはなにも言わない。動かない。
私は浮かせていた足を地面に戻した。
ちらりと蒼真くんが私を見る。
「止めないんだ。今、飛ぼうとしたのに」
「でも、飛ばないでしょ?香音は」
すべてを見透かされたような気がして腹が立つ。
口をとがらせていると、蒼真くんが私の顔を見て笑った。
「香音」
「なに?」
「ひとつ聞きたいことあるんだけど」
蒼真くんは真っ正面から私を見つめると、少し不安げな表情で言った。
「今も、死にたいって思う?」
その質問に、いつかの風景を思い出した。
ふたりきりの音楽室で、今と全く同じことを聞かれた、あの日を。
蒼真くんが歩き出し、フェンスにもたれる。
私もその隣で、彼と同じような体勢を取った。
風が吹いて、私と蒼真くんの髪を揺らしていく。
───飛べそう。
フェンスに手をかけ、力を入れて足を浮かせてみる。
蒼真くんはなにも言わない。動かない。
私は浮かせていた足を地面に戻した。
ちらりと蒼真くんが私を見る。
「止めないんだ。今、飛ぼうとしたのに」
「でも、飛ばないでしょ?香音は」
すべてを見透かされたような気がして腹が立つ。
口をとがらせていると、蒼真くんが私の顔を見て笑った。
「香音」
「なに?」
「ひとつ聞きたいことあるんだけど」
蒼真くんは真っ正面から私を見つめると、少し不安げな表情で言った。
「今も、死にたいって思う?」
その質問に、いつかの風景を思い出した。
ふたりきりの音楽室で、今と全く同じことを聞かれた、あの日を。