ミルクティーの音色
ひとりで過ごしたら飽きてしまいそうな日常を、飽きることなく一緒に過ごせる相手がいる。
それが私の、生きる意味。


「……その生きる意味ってもしかして、俺のことだったりする?」


返事をする代わりに、大きく頷いた。
蒼真くんがぱあっと笑って、私を抱きしめようとしてくる。
私はそれをひょいとかわし、小走りでドアの方へと向かった。


「ねぇ、なんで逃げんの!」

「逃げてないもん」

「いや逃げてるって、ちょっと待ってよ」


蒼真くんを時々振り返りながら、長く続く階段を下りる。
笑いながら追いかけてきて、私はきゃーと声を上げて走る。
私たちは子供みたいにじゃれ合い、ふざけ合った。


部屋に着いた頃はお互い息を切らしていて、それでも笑顔は絶えなかった。


「もうやめて、子供みたいなことすんの」

「いいじゃん、蒼真くんだって笑ってたくせに」

「……まぁそれは、否めないけど」
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