ミルクティーの音色
否めないんだ、と思っていると、突然蒼真くんが携帯の画面を見せてきた。


「見て、これ。町田先生から送られてきたんだけど、俺たちが付き合ってるんじゃないかって噂されてるらしいよ」


昨年教師と生徒が恋愛関係に発展し、退学と退職になったことから、私たちもそうだったのではないかと言われているらしい。
あくまでも家庭の事情で退学、退職になったと伝えられたらしいが、生徒の間では噂が絶えないと。


「へぇ……あ、なんか今送られてきたよ」

「ほんとだ、なになに……」


『どうかお幸せに』
最後に町田先生から送られてきたメッセージ。
それを眺め、どちらからともなく目を合わせ、笑い合った。
蒼真くんは携帯の電源を切り、机の上に置いた。


そして立ち上がると、部屋の端にあるアップライトピアノの前に座った。
私も蒼真くんの隣に腰を下ろす。


「なんの曲が良い?」

「蒼真くんと一緒なら、なんでも」
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