ミルクティーの音色
「言ったじゃん、生きる意味になるって。他愛のないことでも何でもいいんだから、話して欲しいんだけど」
「話したら、受け止めてくれるんですか」


か細い、弱い声だった。
偽った私ではない、『本当の私』が出した声は、こんなにも弱いもの。


本当に呆れる。
分厚い壁を剥がしてしまえば、現れるのは弱くて脆い本性だけ。
本性に対する壁の分厚さが合ってないような気がしてくる。


実際人間なんてそんなものだろうと思う。
強い人なんて一握りだ。
みんな弱くて、脆いから、自分を守るために必死になって生きている。


自分だけの、自分にしか立ち入れさせない境界を生み出して、そこで必死に生きているんだろう。


「思ってることぶちまけて、弱音ばっか吐いても、受け入れてくれるんですか」


重い、と思った。
私は世間的にしてみれば重い女で、独りよがりで、他人に迷惑をかけてばかりで。
自分の中で答えを出しても、それに納得できずに、結果的に他人に答えを求めようとする。
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