ミルクティーの音色
いっぱいの空に包み込まれているような、支配されたような、そんな感覚がして。
空から視線をそらし、ふらつきながら屋上の端っこに歩いて行く。
落下防止のためにつけられているフェンスに掴まり、今度は街を見下ろした。
柔らかい風が、頬に触れる。
ぐっと腕に力を入れて、足を宙に浮かす。
───今なら、飛べそう。
そう思ったものの、フェンスを乗り越える勇気は出なかった。
足を下ろし、ため息をつく。
自分が不甲斐なく、情けないように思えた。
飛びたいのに、飛べない。
死にたいのに、生きたい───。
「なにしてるの」
空気を引き裂いた声に、思わず振り向いた。
そこにいたのは、私の音楽の授業の担当をしている、渋谷先生だった。
私はなにも言えないまま、立ち尽くしてしまう。
「なにしてんのって、聞いてんだけど」
じりじりと追い詰めるように、私に近づいてくる。
どれだけ下がっても後ろにあるのはフェンスと、それを超えた先にある空だけ。
空から視線をそらし、ふらつきながら屋上の端っこに歩いて行く。
落下防止のためにつけられているフェンスに掴まり、今度は街を見下ろした。
柔らかい風が、頬に触れる。
ぐっと腕に力を入れて、足を宙に浮かす。
───今なら、飛べそう。
そう思ったものの、フェンスを乗り越える勇気は出なかった。
足を下ろし、ため息をつく。
自分が不甲斐なく、情けないように思えた。
飛びたいのに、飛べない。
死にたいのに、生きたい───。
「なにしてるの」
空気を引き裂いた声に、思わず振り向いた。
そこにいたのは、私の音楽の授業の担当をしている、渋谷先生だった。
私はなにも言えないまま、立ち尽くしてしまう。
「なにしてんのって、聞いてんだけど」
じりじりと追い詰めるように、私に近づいてくる。
どれだけ下がっても後ろにあるのはフェンスと、それを超えた先にある空だけ。