ミルクティーの音色
動揺によって動かなくなってしまった頭は思考を遅らせる。
何の改善策も浮かばなくなり、私は諦めて校舎へと歩き出した。
大丈夫。渋谷先生ならきっと何とかしてくれる。
大丈夫、大丈夫。何度もそう言い聞かせ、校舎に入ろうと昇降口のドアに手をかけた。
しかし、どれだけ力を込めてもドアが開くことはなかった。
当たり前だ。もうとっくに下校時刻は過ぎていて、生徒は帰っているはず。
職員玄関から入るべきだったのか、とため息をついた。
「佐々木さん?」
真水のように透き通っていて、でも甘くて。
そんな声が、私を貫いた。
振り向いた先には、渋谷先生がいた。
「……先生」
「どうしたの、佐々木さん。忘れ物?」
私を気遣ってか、渋谷先生が近くに来てくれる。
言いたいことは山ほどある。
助けてください。家に入れなくて、金もなくて。
山ほどあるのに、なに一つとして口から出てこない。
何の改善策も浮かばなくなり、私は諦めて校舎へと歩き出した。
大丈夫。渋谷先生ならきっと何とかしてくれる。
大丈夫、大丈夫。何度もそう言い聞かせ、校舎に入ろうと昇降口のドアに手をかけた。
しかし、どれだけ力を込めてもドアが開くことはなかった。
当たり前だ。もうとっくに下校時刻は過ぎていて、生徒は帰っているはず。
職員玄関から入るべきだったのか、とため息をついた。
「佐々木さん?」
真水のように透き通っていて、でも甘くて。
そんな声が、私を貫いた。
振り向いた先には、渋谷先生がいた。
「……先生」
「どうしたの、佐々木さん。忘れ物?」
私を気遣ってか、渋谷先生が近くに来てくれる。
言いたいことは山ほどある。
助けてください。家に入れなくて、金もなくて。
山ほどあるのに、なに一つとして口から出てこない。