ミルクティーの音色
そのまま、手が繋がった。


佐々木さんは確かに、暖かかった。





「ごめん、ちょっと待ってて」


家のドアの前で佐々木さんを待たせ、急いで中に入る。
部屋を見てため息をついた。
誰かを入れるなんて思ってもいなかったから、物が散乱しまくっているのだ。


長い時間佐々木さんを外で待たせるわけにはいかない。
きっと誰にも見られたくないはず。


見せられないような男物をクローゼットに突っ込み、動いていたソファやテレビボードを直した。
最低限部屋を綺麗にして、勢いよく玄関のドアを開けた。


「ごめん、あんま綺麗じゃないかも。入って」


お邪魔しますと呟きながら、恐る恐る佐々木さんが家に上がる。
年齢が離れた教師の家であり男の家だ。緊張するのも無理がない。


「……もっと汚いかと思いました。綺麗じゃないって言ったし」

「これでも綺麗にした方だから。適当に座って」


佐々木さんを座るよう促し、俺は冷蔵庫を開ける。
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