ミルクティーの音色
自殺しようとしている生徒なら、なんとしてでも止めれば良い。
「生きる意味になる」なんて、介入する必要はない。


「……なって、くれるんですか。私の、生きる意味に」

「なるよ。佐々木さんが、望むならね」



断れ、私。


期待なんか抱いちゃいけないと思ったはずだ。
先生の言っていることなんて嘘かもしれない。
授業に出させたいが故に言っているだけかもしれない。


「……嘘だって思ってる?」


心の内を見透かされたのかと思うほど、先生は私の意表を突いてきた。
顔に出ていたのだろう、先生が笑った。


「嘘じゃないよ、これでも俺誠実だから」

「よく言いますね、生徒の間ではチャラ男って言われてますよ」

「なにそれ、初耳なんだけど。不名誉すぎる」


ふたりで笑っていれば、授業終了を告げるチャイムが鳴った。
先生が顔をしかめ、手首に巻き付いた時計盤を確認する。


「佐々木さん、次の授業何?」
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