Re:Lily
ライブハウスを出たあと、なんだか何も考えられなくなって一人駅前のカフェに入ってなんとなくコーヒーを頼んだ。

那樹は私のことは気づいていないと思う。
気づくわけが無い、あんなに人が多いところで。


「…」
(あれ…なんで……)


私の目から何かがこぼれ落ちる。


どうせ会うなら、胸を張って会える私でありたかった。
那樹は夢に向かって頑張ってきたんだ。
那樹だけじゃない。
周りのみんなはどんどん先へと進んでいく。


今までどんな流行病もひかず、ずっと皆勤賞できた。
それなのに、なんで… 自分を恨んだ。
今更こんなこと言ったって無かったことにはできない。


泣いていたからだろう、呼吸が少し苦しくなる。
ゆっくり深呼吸をしようとするが、元に戻らない。

おかしい。



「大丈夫ですか?」

「…」

「お姉さん!お姉さん!」


ここ最近、無理してたのかな…ははっ……

意識が遠のく。



「…!」
「…!」



「友人です――――――」





ゆ、う、じん?







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