Re:Lily
「お母さん、先生の話を聞かなきゃならなかったのよね。…お父さん、行きますよ」
「あぁ、うん。」

お母さんはお父さんの手を引いて病室を後にしようとする。
お父さんが私の方をチラチラと振り返ると、その様子をお母さんが空気を読め、と言わんばかりに若干の薄目で少し睨むように見ていた。


お母さんの気遣いなのか、はたまた那樹が2人に何かを言ったのか。


自分から那樹を見に行って、


それなのに…会いたくなかった。


なんて言ったらいくらなんでも最低だ。




「みやび」

2人きりの空間。

最初に口を開いたのは那樹だ。



「…私、かっこよかった?」



数年ぶりにあったんだ。

それなのに、那樹は那樹だ。
那樹でしかなかった。


「感想くらい言ってよ。」
「なんで」

あんなにたくさんの人がいて、私に気づくなんておかしい。


「…なんで知ってるの。」

「なんで知らないフリしなきゃならないの?」


恥ずかしがり屋で、普段は人よりも何歩も引いたところで、様子を伺って、それだけど結局話しかけにいけないのに、


私の前では、何故か強気で、いや、普段がこんな感じだからかもしれないけど、

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