Re:Lily
「みやび…」
那樹は変わった。
勇気をだして、1歩踏み出して。
「かっこよかったよ、那樹。」
なんで私の目から涙が落ちる。
なんで、私が泣いてるの。
「…みやび、」
私の目からこぼれ落ちる涙を、那樹が優しくそっと手で拭う。
「あの時の返事、言わせてよ…」
私がこの何年もの間、待ちわびていた返事。
それが、こんなにも苦しいなんて…
「私も、みやびが好きだよ。」
ずっと聞きたかった言葉。
あの時聞けなかった言葉。
私も、私も…
「私と付き合って」
「ごめんなさい。」
目元にあった那樹の手が、私の頬を伝い、そしてやがて力が入らなくなったかのように那樹の腕はストッと元の位置に戻る。
「なんで!?みやびは私のこと、」
「好きだよ。」
私が那樹のこと忘れた日なんてあったと思う?
ないよ、1日も。
過去も、未来も、私がこんなに好きになるのは、なったのは那樹だけだよ。
「じゃあ…」
「だから、ダメなの。」
私の側に立っていた那樹が膝から崩れ落ちるように、冷たい地べたに座り込む。
頭を下げているから表情が分からない。
その隙間から涙がポロポロとこぼれ落ちているのが分かった。
那樹はやっぱり泣き虫だ。