Re:Lily
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今回の入院は、私が想像していた以上に早く終わった。

"たった1ヶ月"

あの遥か長い2年の闘病生活に比べれば、どうってことないと思えるくらいになっている。


久々に会社にも出勤した。
復帰初日には藤沢ちゃんが『みやちゃん!』と言いながら思いっきり抱きしめてきたり、先輩達がゆっくり私が仕事できるようにとこまめに休むように言ってくれたり、私はこの環境に感謝しなければならないと思うようになっていた。


それなのに、何かが足りない。


そんな気がするのは気のせいなのだろうか。


優しい人たちに囲まれて、落ち着いた生活。
平穏な生活。


(思い出さない…)


何も考えないようにして、自分の心に蓋をするように日々を過ごした。







「はぁ…」

とは言っても、久しぶりの出勤は想像以上に体力を消費し、次の休日が来る頃にはかなりフラフラな状態になっていた。


帰路に着くと同時にため息をつく。

もう何に疲れているのか、自分の中でよく分からない。
分かっているけど分かりたくない。



「あの、姫の…」

「あっ。」


後ろから声をかけられた。

忘れようとしたものは、私に忘れられたくないみたい。

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