Re:Lily
「帰りはタクシー出してあげるから、ゆっくりしていって」
「ありがとうございます…」

華金。

さっき声をかけてくれたのは、藤沢ちゃんの彼氏さんだった。
『あまりにも落ち込んでいるように見えて、声かけずにはいられなかった』らしい。

後ろ姿だけでそのように判別されてしまっていたのか…


この前座ったカウンター席ではなく、お店の奥の角のソファ席に通してもらった。
忙しい日なのに気づかいしてもらってしまった。


「大丈夫…?」


あまりにも再会するのが早すぎる気がしない…?


「…この前はありがと」
「うん。」

私は一応お礼を言う。

当の本人は仕事中にも関わらず、私の前のソファに座る。


「仕事は?」

「店長がちょっと落ち着いたからいいって。」


あの店長はどこまでもお人好しなタイプなんだなぁと思った。

しばらく沈黙が続く。

そこにすっと店長がカクテルを2つ、それぞれ私たちの前に持ってきた。


「ごゆっくり」


そう言ってその場を立ち去る。

なんとなく私は目の前に差し出されたカクテルを手に持つ。

そして口をつけた。


久々のお酒。



「…やっぱり、私」

会話を切り出したのは那樹だ。


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