Re:Lily
「真凜、久しぶり」


塩野谷 真凜。
私が入っていたダンス部の仲間の1人だ。

大会前しか髪の毛を普通の色に戻さないし、あまりにも肌が黒すぎて目立つから大会直前に白いファンデーションを軽く叩くのは、その見た目からして変わっていないんだろうなぁと思った。


「始めてきたよ。遠かったわ!」
「だよね。こんな田舎来ることないでしょ?」


真凜は大都会・東京の原宿生まれという生粋の都会っ子だった。

初めてであった時の印象は、ギャル。
今と全く変わらない。

でもその見た目とは裏腹に、努力家でダンス部の中では決して上手い方ではなかったけど、その根性で食らいつく姿が凄かった記憶がある。


「なんでここに来たの?」


私はもうダンス部の誰とも連絡をとっていなかった。

私はもう関係ないでしょ、と内心つぶやく。



「ここじゃなんだからさ…」


人目を気にした様子の真凜。
こんなギャルなかなかこの辺りにはいないもんね。

私は駅前のカフェに真凜を連れていく。
まだまだ暑いから、アイスコーヒーを注文した。
真凜は特大いちごパフェと、オレンジジュースを注文していた。


「大食いは相変わらず変わってないね」

「だって新幹線の中で駅弁とサンドイッチとおにぎり食べただけだよ?」

「嘘でしょ…」


さすが、現役。


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