Re:Lily
プリンセス=姫、ねぇ……
カウンター席に着きながら、藤沢ちゃんはずっと彼氏さんが働く姿を眺めていた。
「本当に好きなんだね、」
「あ、ははっ…バレてるか…」
「素敵なことだよ。」
「お待たせしました。」
「ありがとう、………ございます……」
「ありがとうございます!」
別の店員さんが私たちの目の前にドリンクを差し出す。
至って普通の動作で、それなのに。
「よし!飲むぞー」
「アルコール入ってないけどね、それ」
私は頭をこれ以上上げることを、咄嗟にやめた。
店員さんが離れていくのをなんとなく確認してから私は顔を上げた。
手だけで気づいてしまうなんて、
私は重症だ。
「さっきの人!例のかっこいい人!」
「あ、あぁ。素敵だね」
「だよねー!」
雰囲気が変わっていたけど、すぐに分かった。
黒い制服のシャツに着いていたネームプレート。
やっぱり
あっちは私に気づいてなんかいないだろう。
もう何年も前のこと。
私にとっては忘れることの出来ない過去でも、あなたにとってはただの過去。
記憶の中の断片でしかないのだから。
なかなかカクテルが喉を通らなかった。
カウンター席に着きながら、藤沢ちゃんはずっと彼氏さんが働く姿を眺めていた。
「本当に好きなんだね、」
「あ、ははっ…バレてるか…」
「素敵なことだよ。」
「お待たせしました。」
「ありがとう、………ございます……」
「ありがとうございます!」
別の店員さんが私たちの目の前にドリンクを差し出す。
至って普通の動作で、それなのに。
「よし!飲むぞー」
「アルコール入ってないけどね、それ」
私は頭をこれ以上上げることを、咄嗟にやめた。
店員さんが離れていくのをなんとなく確認してから私は顔を上げた。
手だけで気づいてしまうなんて、
私は重症だ。
「さっきの人!例のかっこいい人!」
「あ、あぁ。素敵だね」
「だよねー!」
雰囲気が変わっていたけど、すぐに分かった。
黒い制服のシャツに着いていたネームプレート。
やっぱり
あっちは私に気づいてなんかいないだろう。
もう何年も前のこと。
私にとっては忘れることの出来ない過去でも、あなたにとってはただの過去。
記憶の中の断片でしかないのだから。
なかなかカクテルが喉を通らなかった。