太陽みたいなキミだから
――この学校に行きたいので。

 あの子は自分のやりたいことを言えるんだ。あんなにハッキリと、堂々と。
 そこには、うしろめたさとか申し訳なさとか、そういうものは全然感じなかった。あの子は自分の意思にまっすぐなんだ。

 なんてかっこいいんだろう。
 はじめに思ったのは、素直な賞賛の言葉だった。だけど、次第にドロドロしたものがわたしの胸の内を支配する。

 ずるい、羨ましい……なんであの子だけ。

 わたしとあの子、同じような境遇なのに、わたしはあんな風にまっすぐ自分の気持ちを言えない……言えないんだ。
 お母さんに言われるがまま、絵を諦めてまで「S高」で出すしかなくて。そのくせ、頼まれて実行委員まで引き受けてしまった。
 自分の意思のないわたしは、なんてかっこわるいんだろう。

 階段の窓から見える空は、今日もうんざりするほど晴れ渡っている。
 天気がよければいいほど、わたしの心は反比例するかのようにかげっていく。

 ……やっぱり昨日、あのまま落ちちゃえばよかったのかな。こんな思いで毎日を過ごすくらいなら、いっそ――。



『ヒマワリだ』



 ……だけど。小さくポン、と泡がはじけるみたいに、昨日の『エージ先輩』の言葉を思い出した。
 その言葉はみるみるうちにわたしのドロドロを洗い流していく。
 いきなり自分の絵を描けって言ってきた、変な人だった。関わったっていいことなんてない。面倒くさいことになる、絶対。
 わかっているのに……。

 なんでだろう、わたしの足は屋上に向かっていた。
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