太陽みたいなキミだから
「締め切りは今日なのに?」

 ぼそり。聞こえてきた冷たい声に、思わず樋口さんを見た。

「え……」

「締め切り、今日までに出さなきゃいけないって、この前の集まりで言ってたよね。守らなくても別にいいやって思っているのかもしれないけど、そういうの迷惑だから」

 彼女は怒っていた。太めの眉をきりりと吊り上げてわたしを睨んでいる。
 だめだな、わたし。締め切りのことを聞きこぼしていたなんて。塾のことで頭がいっぱいで、全然話し合いに身が入っていない証拠だ。

「あの、ご――」

「それに杉咲さん、いつも話し合いの最中眠そうだよね」

 あ……バレてたんだ。
 あんまりバレたくないことを知られてしまって、すごく気まずい。
 なんて言い訳しようと考えていたら、

「やりたくなかったのかもしれないけど、やると決めたなら責任もってやって」

 それは、びりびりと痺れるような大声だった。
 教室の一番端まで響き渡って、教室内は一気に静まり返る。
 わたしは驚いて、ただただ目を瞬かせることしかできない。

 樋口さんはわたしの返事を待つことなく、すぐに立ち上がって、ぽかんとしている委員長の前まで歩いて行った。
 そのままわたしのクラス以外のプリントを提出すると、まっすぐドアに向かって進んでいく。
 バタン!
 またもや大きな音が鳴り響いた。

 誰の目も気にしていない。私の目にはそんな風に映った。
 樋口さんには、気まずさとか恥ずかしさとか、「これを言ったらこう思われる」とか、そういった類のものがないのかもしれない。

 あのとき――職員室で会ったときと同じだ。
 堂々と、自分の意思に正直な人。
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