太陽みたいなキミだから
「気になるっていうか……?」

 エージ先輩がわたしの顔をのぞき込んできた。色素の薄い、少し茶色がかった瞳に困り顔のわたしが映っている。
 そうか、この人は……わたしの話をちゃんと(・・・・)聞いてくれるんだ。
 自分の話を押し付けるでなく、決めつけるでもなく、わたしの話をちゃんと聞こうとしてくれている。
 それがエージ先輩に感じる心地よさの正体なのかもしれない。

 別に、誰にも話さなくったって、いずれ消化されて消えていく思い。
 だけど……やっぱりうれしいな。こうやって聞いてもらえるのって、すごくうれしいことなんだ。

「……わたしには、あんな風に自分の思ってることをハッキリ言えないなと思って」

 口にしたことでより自覚する。
 
 ――樋口さん。
 境遇は似ていたけど、中身は正反対な人。
 わたしにはできないことをしている。それがうらやましくもあり、妬ましくもあった。

「話してみれば?」

「タイミングがなくて……それにわたし、怒られたばかりだし」

「芽衣に話しかけられて、嫌な子はいないと思うけどな」

「そんなこと……」

 そんなことは絶対にない。
 もしそうだったとしたら、今ごろ紗枝や美優とあんなにギクシャクしていないはずだから。

「……わたし、下手くそなんです、そういうの」

 友達付き合い。
 そもそも、紗枝や美優と仲良くなったのだって、一年のときに向こうから声をかけてきたからだった。
 
 もっと話しやすい子だったら実行委員のときにでも話しかけるんだけど……。
 わたしの中で「好奇心」より「気まずさ」が勝っていて、とてもじゃないけど話しかけられそうもない。
 でもきっと彼女なら……わたしとはちがって、そんなことお構いなしに話したい人に話しかけるんだろうな。そんな気がする。
 想像の中でもわたしと彼女とのちがいを感じて、なんだか惨めだ。
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