太陽みたいなキミだから
 そう言われてハッとした。
 ずっと謝りたいと思っていたのは本当のこと。だけど、もっと強く知りたいと思ったこと、それは――。

「えっと……実はこの前、偶然聞いちゃったんだけど……樋口さんって志望校落としたの?」

 きっかけは、職員室で耳にした、先生と樋口さんの会話。
 親や先生に反対される中、きっぱりとした口調で「この学校に行きたいので」と語った彼女を見たときから、わたしは樋口さんのことを知りたいと思ったんだ。

「落としたっていうか……。ねぇ、杉咲さんはわたしのこの恰好を見てどう思った?」

「え? えっと……」

 どう思った、といわれても。
 いきなり話が変わったことを不思議に思いつつ、わたしはもう一度彼女をじっくり観察した。
 たしかに中学生が着る服としては派手、ではある。
 普段の樋口さんは、制服だって着崩してないし、こんなこと言ったら失礼だけど、赤いメガネをかけていること以外は特に特徴はない。
 ハッキリした物言いは人を寄せ付けはしないけど、見た目は完全にふつうの子。……そんな印象だった。
 それなのに今はどうだろう。
 夕焼け色のワンピースも、メガネを外してメイクした顔も、『ふつう』とはちょっと違うかもしれないけど、樋口さんによく似合っている。

「とっても似合っていると思う」

 正直にそう伝えたら、樋口さんはにっこり笑って「ありがとう」と言った。
 それは、初めて見る彼女の笑顔だった。

「実はね、この服、わたしが作ったんだ」

「……ええっ⁉」

 わたしはもう一度、彼女の服を上から下までなめるように見た。
 とてもじゃないけど中学生が作ったとは思えない。売っているものみたいにしっかりしている。
 


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