太陽みたいなキミだから
「……怒るよ」
「っ……」
エージ先輩が眉を寄せた。珍しく、空気がピリッと張り詰める。
いつも、わたしがどんなに泣き言を言っても怒らなかったエージ先輩が……怒っている。
「なんでエージ先輩が怒るの。わたしが絵を描くのも描かないのも、ここから飛び降りるのも飛び降りないのも、全部エージ先輩には関係ないじゃん」
「そんなこと……!」
勢いよく言いかけた言葉は、しりすぼみで消えていく。
ほらね、エージ先輩にはわたしを引き留める理由なんてない。
先輩は悔しそうに顔をゆがめた。
ぽつ、ぽつ、と降ってきた雨が頬をぬらす。黒くなった雲がわたしの心にも入り込んでいく。
頭が重い、胸が苦しい。
……もう、止まらない。
「芽衣、聞いて。オレは……」
「……力づくで引き留めようともしないくせに……いつも口ばっかり!」
あ……――。
わたし……いま、なんてことを……。
言ってしまって後悔した。
エージ先輩の顔が、今にも泣きだしそうだったからだ。
「せん、ぱい……わたし……」
――ザァッ。
急に激しく振り出した雨が、視界をうばっていく。
必死に顔をぬぐうけど、先輩の表情はもう見えない。しだいに体も冷えてきて……。
くらっ。
――わたしは意識を手放した。
◇
『ずっと、芽衣に会いたかったんだ』
その声は……エージ先輩?
ごめんね、先輩。
わたし……わたし……なんでひどいこと言っちゃたんだろう。
先輩にあんな顔させたくなかったのに……。
『芽衣はオレの希望……太陽なんだよ』
そんなわけない。わたしはなんにもない。なんにもないんだよ、先輩……。
「っ……」
エージ先輩が眉を寄せた。珍しく、空気がピリッと張り詰める。
いつも、わたしがどんなに泣き言を言っても怒らなかったエージ先輩が……怒っている。
「なんでエージ先輩が怒るの。わたしが絵を描くのも描かないのも、ここから飛び降りるのも飛び降りないのも、全部エージ先輩には関係ないじゃん」
「そんなこと……!」
勢いよく言いかけた言葉は、しりすぼみで消えていく。
ほらね、エージ先輩にはわたしを引き留める理由なんてない。
先輩は悔しそうに顔をゆがめた。
ぽつ、ぽつ、と降ってきた雨が頬をぬらす。黒くなった雲がわたしの心にも入り込んでいく。
頭が重い、胸が苦しい。
……もう、止まらない。
「芽衣、聞いて。オレは……」
「……力づくで引き留めようともしないくせに……いつも口ばっかり!」
あ……――。
わたし……いま、なんてことを……。
言ってしまって後悔した。
エージ先輩の顔が、今にも泣きだしそうだったからだ。
「せん、ぱい……わたし……」
――ザァッ。
急に激しく振り出した雨が、視界をうばっていく。
必死に顔をぬぐうけど、先輩の表情はもう見えない。しだいに体も冷えてきて……。
くらっ。
――わたしは意識を手放した。
◇
『ずっと、芽衣に会いたかったんだ』
その声は……エージ先輩?
ごめんね、先輩。
わたし……わたし……なんでひどいこと言っちゃたんだろう。
先輩にあんな顔させたくなかったのに……。
『芽衣はオレの希望……太陽なんだよ』
そんなわけない。わたしはなんにもない。なんにもないんだよ、先輩……。