太陽みたいなキミだから
 目を開けると、白い天井が目に入った。
 ここは、どこ? さっきのは……夢?
 まだぼんやりする頭でゆっくり横を見たら、何度か見たことのある景色が広がっていた。
 並んだベッド、薬品の並んだ棚、白衣がかけられたイス、骨格標本に体重計。ここは……保健室だ。

 そっかわたし……あのとき倒れちゃったんだ。
 だとしたらエージ先輩がここまで運んでくれたんだろうか。でも肝心の先輩の姿はない。

 と、そのとき。
 ガラッと音をたててドアが開いた。

「せんぱ……――」

 エージ先輩がやってきたものだと思った。だけど保健室に入ってきたのは、

「ぶ、部長……?」

片桐部長だった。

「目が覚めたか。よかった」

 部長は爽やかに笑うと、中央にあった丸椅子にどかっと座った。

「えっと……部長がここまで……?」

「上からドンッて音がしたから来てみたら、杉咲が倒れてるんだもんな、驚いたよ。おまえ本当に運がいいんだぞ? オレがたまたま美術室に残ってて、たまたま保健の先生もいたからよかったものの、あのままだったら雨の中、誰にも気づかれずに過ごすことになったんだからな」

 そういえば、美術室はすぐ下だったっけ……。

「あの、ありがとうございます」

 控え目にそう言ったら、部長は「ん」と短く言って、照れたように頭をかいた。

「あー……その……一応言っておくが、服は先生がやったんだからな」

 服……?
 そう言われて気がついた。わたしはいつの間にか、ジャージ姿になっている。

「いや、ほら、雨でぬれたままだと風邪をひくからって先生が……あっ、いや、その……そのジャージはまだ一度も着ていないもので……きれいだから」




< 58 / 95 >

この作品をシェア

pagetop