太陽みたいなキミだから
『あなたはお兄ちゃんみたいにならないわよね?』

 今度こそ失敗(・・)しないように。外に逃げ出さないように。
 お母さんから伝わるそんな思いにびくびくしながら過ごす日々。それでもわたしが頑張れば、お母さんはわたしを認めてくれると思った。

「……っでも! ムリだった! わたしがいくら頑張っても、お母さんは『お兄ちゃん』ばかり。わたしは結局、ずっとお兄ちゃんの代わりなんだ……!」

 呟きは嗚咽に変わる。気づいたら一筋の涙が頬を伝っていた。
 本当は必要とされたかった。誰かに見てほしかった。だけど。

「お母さんも、友達も……本当は誰一人としてわたしのこと必要じゃない。わたしはいてもいなくても、どっちでもいいんだ」

 苦しかった。この気持ちを抱えたまま生きていくのが。
 学校に行っても家に行っても、気が休まらない。もうわたしの安心できる場所はないんだって、そう思ったら目に映る世界がモノクロになった。
 最後の希望の「絵」まで失って、わたしにはもうなにもないんだなぁって……悲しかった。

「みんな、みんな、きらい。でも……」

 ひゅうっと息の音がする。
 こんなに話したのは初めてで、のどの奥が掠れて痛い。
 でも、全部聞いてほしい。先輩に……先輩だからこそ、この想いを全部伝えたい。

 エージ先輩はわたしがたどたどしく話している間も、ずっと優しい目で見守ってくれていた。
 それがすごく……うれしい。

「でも……なんにも言えないわたし自身が……一番、きらい」

 ――そう、一番きらいなのは自分自身だ。
 必要としてほしくて、見てほしくて、「いい子」になってしまう。
 本当は言いたいことがあるのに、それを隠してしまう。

 
 ずっとずっと、そんなわたしのことがきらいだった。
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