太陽みたいなキミだから
10. ひみつと予兆
まだセミが鳴く、九月。暦の上ではもう秋なのに、まだまだ暑くて夏真っ盛りという感じ。
そんな中、学校は文化祭の準備でにぎわっていた。
いよいよ文化祭は明日。わたしの『文化祭実行委員』という仕事ももうすぐ終わる。
「杉咲さん、次三組行ける? わたしは本部にこれ持っていくから」
「うん、わかった!」
樋口さんに向かって手でOKマークを作る。だけど樋口さんは、表情一つ変えることなくくるりと振り返って行ってしまった。
相変わらずつれないなぁ。
でも、そんな対応をされても胸がズキッとしなくなったのは、樋口さんがどんな子かわかったからだと思う。
やっぱり話せてよかった。これも先輩のおかげだ。
エージ先輩とは、夏休み中に会ったのは結局あの花火大会の夜だけ。
連絡先を聞けなかったわたしのミスだ。
だけどあの夜は話がちがう方向に行ったから……聞けなかったのも仕方がない。
……と、下がっていく気持ちをグッと堪えて前向きに過ごした。
会えたとしても先輩は受験勉強で忙しかっただろうし。それに、わたしはわたしでやることもあったし。
「――じゃあ明日またよろしくね」
三組の子に明日の確認をとって、教室を出る。
わたしの仕事はいったんこれでおしまい。樋口さんと約束した時間まではあと少しありそうだ。
ガラガラ……とゆっくりドアを閉めたら、くるりと方向転換して東棟に急いだ。
やっと、やっと、やっと! エージ先輩に会える!
途中、美術室に寄って手さげバッグを手にする。
どうしてもエージ先輩に見せたいものがあった。
きっと先輩なら喜んでくれるはず。
一気に階段を駆け上り、勢いよくドアを開けた。
「エージ先輩!」
わたしの声でエージ先輩が振り返る。
ひと月ぶりの笑顔が眩しい。
そんな中、学校は文化祭の準備でにぎわっていた。
いよいよ文化祭は明日。わたしの『文化祭実行委員』という仕事ももうすぐ終わる。
「杉咲さん、次三組行ける? わたしは本部にこれ持っていくから」
「うん、わかった!」
樋口さんに向かって手でOKマークを作る。だけど樋口さんは、表情一つ変えることなくくるりと振り返って行ってしまった。
相変わらずつれないなぁ。
でも、そんな対応をされても胸がズキッとしなくなったのは、樋口さんがどんな子かわかったからだと思う。
やっぱり話せてよかった。これも先輩のおかげだ。
エージ先輩とは、夏休み中に会ったのは結局あの花火大会の夜だけ。
連絡先を聞けなかったわたしのミスだ。
だけどあの夜は話がちがう方向に行ったから……聞けなかったのも仕方がない。
……と、下がっていく気持ちをグッと堪えて前向きに過ごした。
会えたとしても先輩は受験勉強で忙しかっただろうし。それに、わたしはわたしでやることもあったし。
「――じゃあ明日またよろしくね」
三組の子に明日の確認をとって、教室を出る。
わたしの仕事はいったんこれでおしまい。樋口さんと約束した時間まではあと少しありそうだ。
ガラガラ……とゆっくりドアを閉めたら、くるりと方向転換して東棟に急いだ。
やっと、やっと、やっと! エージ先輩に会える!
途中、美術室に寄って手さげバッグを手にする。
どうしてもエージ先輩に見せたいものがあった。
きっと先輩なら喜んでくれるはず。
一気に階段を駆け上り、勢いよくドアを開けた。
「エージ先輩!」
わたしの声でエージ先輩が振り返る。
ひと月ぶりの笑顔が眩しい。